夢のなかでも私は寒いのか、毛布を頭から被った格好で暗闇のなかを歩いていた。どうして歩き続けているのか、どこへ向かっているのかは定かではない。暗闇といってもただの暗さじゃない。それは暗黒と呼んでもいいくらいの、まったく光のない世界。でもそんな暗黒のなかでも私は自分が何を手にしているのかわかっている。それは影だ。斧を手に私はどこかに向けて歩き続けているのだ。これは記憶のなかに釣り糸を垂れるような作業で
毛布と斧は消えない... の続きを読む
医学の進歩によって病気の克服は可能でも、生命の限界をなくすことはしょせん不可能なのです。そして真の科学的な姿勢とは、よく分からない部分、不確かなところを切り捨てて、明晰な、取り組みやすい情報だけをよせ集め、任意の全体像を強引にまとめ上げることではないはずです。ここで古くからの生物・生命に関する機械論、生気論、全体論の論争に深入りするつもりはありませんが、現代医学が直接コントロールできない部分が少な
機械論、生気論、全体論... の続きを読む
メディアの時代、うたが混ざるのに「人」が混ざることは必ずしも必要でなくなりました。(Automatic)が響く部屋。そこはエレクトロニックなうたの増蝸です。「体中が熱くなってくる1つ」「パラダイスにいるみたい1つ」のあとに広がるエコー。バックーコーラスにもエコーが利きまくっています。ドラムスが腰にきて、ベースが胸にきて、ニッポンを引きずらないブラックーコンテンポラリーな日本語が切なく吐き出され、そ
人の心の根っこにある腹に収まる... の続きを読む
個人保険、個人年金の保有契約高で八割のシェアを占めている大手生命保険七社に至っては、販売のほぼ一〇〇%を営業職員チャネル、いわゆる「セールスレディ」が担っている。現在のようなセールスレディによる販売が主流となったのは、戦後になってからである。戦争に伴う損失と戦後の猛烈なインフレで壊滅状態にあった生命保険が、日本経済の復興とともに業績を急速に回復し、今では世界一の生命保険普及国となった背後には、女性
世界一の生命保険普及国となった背景... の続きを読む
近所の感じの良い新築マンションの一階が、ずっとレンタルオフィスのまま空いていました。中は床も壁も天井もコンクリートがむき出しで、前を通るたび、いったいどのような事務所が入るのかと何となく想像していました。コンビニがあると便利だな、でも治安が良くないかもなどと勝手なことを思っているうちに工事が始まり、小奇麗な内科のクリニックが現れました。表は全面ガラス張りで、外からのぞくと正面に受付が見え、その奥は
レンタルオフィスがクリニックに... の続きを読む
埼玉県のAさん(事故当時19歳)は2002年、乗用車の助手席に同乗中、運転者が起こした自損事故で脊髄を損傷しました。腰から下が完全に麻庫するという重度の後遺障害(労働能力喪失率100%=1級)を負いました。民事裁判の結果、Aさんには逸失利益、慰謝料、介護料など約2億円の損害が認められましたが、Aさん自身にもシートベルト不着用など30%の過失があるとされ、加害者(運転者)側からの賠償金は約6000万
過失相殺額を補填するものではない... の続きを読む