寄宿学校はパワーズから六五キロ北西のランカシャー、カウワン・ブリッジにあったが、一帯は湿地帯で身体にはよい場所でなかったようだ。学校の衛生施設が十分でなかったことも指摘されているが、当時の常として、学校の給食の内容が粗末で、育ち盛りの子供にとって十分なものではなかったのではあるまいか。少女時代のエミリーは、どんな子供だったのだろう。三女シャーロットの友人のエレン・ナッシは、「エミリーはいちばん背が高くほっそりとしており、姉に似て美しい髪を小さく不細工に引きつめていた。口数は少なかった。その眼は、ある時は暗灰にある時は暗碧になり、透明に燃えながらやさしく光る。血色は姉と同じように悪い」「姉妹は、ひとたび家を出て荒野に入ると、いきいきとしてくるのであった。とりわけエミリーの変わりようはいちじるしく、岩の間や水ぎわにまるで小児のようにたわむれるのであった」と述べている。またエミリーが、犬を愛したり、野で傷ついた兎や小鳥を助けたり、またそれらに、人間にても対するように話しかけたりしたということも伝えられているが、一方では、人間に対する時には、おのれの内に深くとじこもってしまうというようなところがあった」(阿部知二著「ブロンテ姉妹」研究社刊)