一人、病院のベッドの上にいて、カーテンのすきまから音もなく舞い落ちる雪を見ていた。十一月初めに雪が降ることはめずらしかった。灰色の重い雲の中から湧き出るように絶え間なく舞い落ち、心の奥へ少しずつ降り積もっていった。音のない、白いだけがとりえの空間に一人取り残され、ひっきりなしに頬をつたう涙を止める力もなくなっていた。手術室の、宇宙船のように奇妙に明るい大きな無影灯。冷たい光を放つ銀色の器具。いつか映画で見たシーンの中に、私が放り込まれるなどと思ってもみなかったことだった。今まで生きてきた中で、一番輝いていた日々の代償であったとしても、それはあまりにも大きすぎる。二人おそろいの桶を持ち、街角の銭湯へ通った日々。彼のシャンプーやリンスを借りて、髪の香りが同じになったことを笑ったものだった。
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