気になることがあった。僕らがアララト山を前に乾杯したビールだった。イミグレーション脇の建物のなかにある免税店でこのビールを買ったのだが、ひと缶が二・五リラもしたのである。日本円にすると二百三十円にもなる。これは日本の物価と同じではないか。いや、これは免税ビールなのだから、日本より高いことになる。この建物のなかにはレストランもあった。その値段をみると、十リラ以上のものが多い。十リラというのは九百二十円ほどである。
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とんでもなく高いのだ。トルコの物価はもっと安いはずではなかったのか。これはなにかの間違いではないだろうか。この旅の会計係でもある僕のなかでは嫌な予感が広がってしまった。旅というものは、ひとつを乗り越えると、また次の難問が迫ってくるものらしい。猛烈なインフレ状態だったトルコは、二年ほど前、百万リラを一リラにするという発表をした。それまではやたら桁数が多くて苦労した。単位が小さくなって旅行者には助かるのだが、それにしても、この物価高はなんだろうか。国境だけのことなのだろうか。