持家社会を形成するのは、住まいの「梯子」を登る人たちの動態である。世帯を形成し、雇用と所得を安定させ、より良質の住宅に住み替え、そして持家を取得し、メインストリームに参加しようとする人たちが集まって社会の「流れ」を生む。しかし、住宅所有の旧来の環境は崩れ、ライフコースは拡散し始めている。若い世代が「梯子」を円滑に登っていないとすれば、そのことは「流れ」を停滞させ、メインストリームの基盤を掘り崩す。安定した仕事に就かず、結婚しない若年層が増えるなかで、「フリーター」と「ニート」の増大は社会の注目を集めた。
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これに関する議論の一部は若年層の心構えにまでおよび、精神論の様相を呈することがあった。若い人たちの「自立心」の欠如に非難が向けられ、あるいは逆に、若年層を擁護し、「自立心」に関わる非難を非難する議論があった。しかし、「フリーター」と「ニート」の心構えを非難または擁護する議論は、ジャーナリスティックな論争を煽る以外に意味をもたない場合が多い。若い世代の実態を知ろうとするのであれば、暮らしの物質的条件を探ることが基礎作業として必要である。若年層の「自立心」を論じるにせよ、それ自体をマテリアルな環境から切り離し、完結した事項として扱う限り、不毛な精神論しか生まれない。